打掛「白地松竹梅鶴鯉文様」

打掛「白地松竹梅鶴鯉文様」(江戸後期〜明治時代)

江戸時代後期から明治期にかけて仕立てられた、贅を尽くした打掛です。紗綾形の生地いっぱいに施された非常に豪華な刺繍が目を引きます。

デザインには、吉祥模様の「松竹梅」に長寿の象徴である「鶴」が多数舞っています。繁栄を願ってか背の中心には三匹の小鶴が配置されています。そして裾周りには勢いよく波濤を泳ぎ、滝を登らんとする「鯉」の姿が生き生きと表現されています。

立身出世の象徴でもある鯉と、気品ある鶴の対比が見事で、生成りの白地に映える、梅や楓の鮮やかな「紅」、松竹の瑞々しい「緑」、そして鶴や鯉を引き締める「黒」のコントラストが秀逸です。随所に煌めく金糸の贅沢な輝きと、裾から覗く比翼の鮮烈な赤が全体をさらに格式高く彩っており、当時の高度な刺繍職人の技術と、特別なハレの日のための圧倒的な美意識が凝縮された貴重な逸品です。